ラスト・ゲーム
悪いことに悪いことは重なるもので。
…ぼんやりしていたせいか、体育館に一人だけ残っていた俺は、顧問のカバに雑用を任されてしまった。
─こうゆうの、泣きっ面にハチやらアブやらゆうんだろうな。
『早水!体育倉庫に置いてあるカーテン取ってきてくれないか?』
…親切にとりにいった俺に、カバはさらに体育館の窓にそれを取り付けるように命じた。
…時給くらいくれるんだろうな?
もちろん、お礼のジュース一本もないまま、カバは体育館から去って行ったわけで。
恨めしい気持ちでその白髪混じりの頭を見送った。
いつもの夕焼け空が、かすかな闇を帯びている。
今にも消えてしまいそうな赤に、焦って体育館を飛び出した。
踊り場で脱ぎ捨てたバッシュをケースに入れ、体育館を後にした、その時。
前方に、二つの影が見えた。
一人は、麻子。
もう一人は……
田原 だった。