ラスト・ゲーム



□□




「夢……」



目覚めると、時計の針はすでに10時を回っていた。

とっくに学校は始まっていて、でも俺の中には焦りも生まれず…ただもう一度、布団に潜った。


…眠いわけじゃなかった。

でも、眠ってしまいたかった。

そして、昨日のことが夢であれば良かった。


…心に広がった大きな穴は一向に塞がらず、ただそれを塞ぐために作り出した汚い気持ちが、さらに傷口を化膿させていた。



─もうこのまま世界が止まってしまえばいい。





それでも無情に時計の針は時間を刻んでいた。



麻子が隣にいない世界は、布団にうずくまる俺を残して…相変わらず回っていた。


布団の中、こもった空気をまといながら、自分はこんなに打たれ弱かったのかと軽く自嘲した。





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