ラスト・ゲーム
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「夢……」
目覚めると、時計の針はすでに10時を回っていた。
とっくに学校は始まっていて、でも俺の中には焦りも生まれず…ただもう一度、布団に潜った。
…眠いわけじゃなかった。
でも、眠ってしまいたかった。
そして、昨日のことが夢であれば良かった。
…心に広がった大きな穴は一向に塞がらず、ただそれを塞ぐために作り出した汚い気持ちが、さらに傷口を化膿させていた。
─もうこのまま世界が止まってしまえばいい。
それでも無情に時計の針は時間を刻んでいた。
麻子が隣にいない世界は、布団にうずくまる俺を残して…相変わらず回っていた。
布団の中、こもった空気をまといながら、自分はこんなに打たれ弱かったのかと軽く自嘲した。