ラスト・ゲーム
ジリジリと、首筋が焼ける感覚が俺を襲う。
…部活には行こう。
入ろうが入るまいが関係ないよな。自分の行動は、自分で決めなきゃ。
最も、バスケバカからバスケを取ったら、何も残らない。
午後出勤なんて、″学生″としては失格だが。
後味の悪いフリースロー。
バスケットゴールに背を向けて、俺はいつものようにバカでかいカバンにいつもの用意を詰めた。
いつものようにドアを勢いよく開け、
そして、いつもの道を、学校へと急いだ。
…ただ一つ、いつもと同じじゃないのは、心にポッカリ穴が空いた、俺だけ。
もうこの時、俺は「俺」でなくなりかけていたんだ。
すでに、俺の中身は、音をたてて崩れていた。
でも俺はそんな自分を認めたくなくて、
…気付かないふりを、したんだ。
庭に残されたボールだけが、それを知っているかのように…バスケットゴールの足元に、転がっていた。