ラスト・ゲーム
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体育館には、相変わらずバスケットボールの弾む音が絶え間なく響いている。
それに呼び寄せられるように、体育館へと向かう歩みが早まった。
「おっ、社長出勤!」
汗だくの額を拭う俺に、早速の冷やかしがかかる。
…翔太だ。
苦笑いを返す俺に、翔太も笑いながらパスを出した。
「…おう、早水社長と呼べ」
「ははっ、じゃあ始めましょうか元ちゃん」
…社長以前に″元ちゃん″かよ。
捲り上げられたTシャツの袖にみなぎる気合いの現れに、ふと顔が綻んだ。
体育館の熱気に、足を踏み入れる。
…やっぱり、ここはいい。
熱さが気持ちいい、なんてのはこの場所でしか味わえない。
フットワークが始まる。
寝過ぎたからか、ダッシュ三本ですでに体がだるい。一気に年をとった気分だ。
そんな体に違和感を覚えつつも、だんだんと体育館に馴染んでいく自分を感じた。
…来て良かった。