月と太陽の事件簿15/人形はなぜ捨てられる
「じゃ、かいつまんで説明してくれ」
「んな器用なことできないわよ」
あたしは手帳を開いた。
「遺体となって発見されたのは鳥海広義(85)。生まれも育ちもN県H市K町」
そのK町で長く衣料品店を営んでいたが、20年前に家業を息子に譲って隠居。
しかし6年前に長年連れ添った妻を亡くしてから体調を崩し、ここ1年余りは寝たきりの状態が続いていたという。
「息子の名前は鳥海哲夫(51)。妻は光子(50)。父親から継いだ店を切り盛りしながら、父親の介護を続けていたそうよ」
「息子夫婦に子供は?」
「子供はいないわ」
あたしは話を続けた。
「事件が発覚したのは、9月7日正午。息子夫婦が昼食をとるために店から帰宅したところ、何者かが侵入した形跡があるのを発見した」
「ちょっと待て。店と実際に住んでいる家は別なのか?」
「店は以前住んでいた家を改装したもので、住むには手狭だったみたい」
「んな器用なことできないわよ」
あたしは手帳を開いた。
「遺体となって発見されたのは鳥海広義(85)。生まれも育ちもN県H市K町」
そのK町で長く衣料品店を営んでいたが、20年前に家業を息子に譲って隠居。
しかし6年前に長年連れ添った妻を亡くしてから体調を崩し、ここ1年余りは寝たきりの状態が続いていたという。
「息子の名前は鳥海哲夫(51)。妻は光子(50)。父親から継いだ店を切り盛りしながら、父親の介護を続けていたそうよ」
「息子夫婦に子供は?」
「子供はいないわ」
あたしは話を続けた。
「事件が発覚したのは、9月7日正午。息子夫婦が昼食をとるために店から帰宅したところ、何者かが侵入した形跡があるのを発見した」
「ちょっと待て。店と実際に住んでいる家は別なのか?」
「店は以前住んでいた家を改装したもので、住むには手狭だったみたい」