月と太陽の事件簿15/人形はなぜ捨てられる
現在住んでいる家は店から車で10分ほどの距離にある。

K町の住宅街からは外れた所で、およそ40世帯120人ほどしか住んでいない集落だそうだ。

「家の中が荒らされているのと、父親の姿が見えないのに気付いた哲夫は110番通報した」

所轄の捜査員が駆けつけ、現場を調べたところ、夫婦の寝室の窓が割られていた。

室内には足跡があり、犯人はそこから侵入したものと思われる。

ほどなく県警捜査一課も到着。

鳥海広義が寝たきりであったことから、自らの意思で外出する事は困難・不可能とし、侵入者に拉致されたものと判断。

住居侵入と誘拐の容疑で捜査本部を設置した。

「併せて9月7日夜からは鳥海広義の捜索を開始」

「オレらがマネキンを見つけたのはその翌日か」

あたしはうなずいた。

「オレらのとこに北島警視たちが来たのはついでだったんだな」

「そりゃそうよ」

マネキン人形の不法投棄であれだけの人数が動くわけがない。

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