月と太陽の事件簿15/人形はなぜ捨てられる
「広義さんが行方不明になった前日も、光子さん1人でしたか?」
「はい、夜7時ごろに訪ねてきました」
「その時、何か変わった様子は?」
「いえ、特に」
いつも通り、仁藤の妻と一緒に世間話に花を咲かせていたそうだ。
「光子さんは大きな声で笑ってましたよ。でもあの笑い声もしばらくは聞けないだろうなぁ」
達郎は唇を尖らせたまま、小さくうなずいた。
「もうひとつよろしいでしょうか」
「はい」
「鳥海広義さんは、完全に寝たきりだったんでしょうか」
つまり忍び込んできた賊に、全く抵抗できない状態だったのかと、達郎は訊いた。
「鳥海さんは全く動けないわけじゃなかったんです」
仁藤は膝の上で両手を組みながら言った。
「寝返りもうてましたし、手を使って体を起こすことも出来ました」
しかし自力で立って歩くことなどは無理だった。
「ましてや賊相手に抵抗するなんて、絶対に不可能だったはずです」
仁藤はそう断言した。
「はい、夜7時ごろに訪ねてきました」
「その時、何か変わった様子は?」
「いえ、特に」
いつも通り、仁藤の妻と一緒に世間話に花を咲かせていたそうだ。
「光子さんは大きな声で笑ってましたよ。でもあの笑い声もしばらくは聞けないだろうなぁ」
達郎は唇を尖らせたまま、小さくうなずいた。
「もうひとつよろしいでしょうか」
「はい」
「鳥海広義さんは、完全に寝たきりだったんでしょうか」
つまり忍び込んできた賊に、全く抵抗できない状態だったのかと、達郎は訊いた。
「鳥海さんは全く動けないわけじゃなかったんです」
仁藤は膝の上で両手を組みながら言った。
「寝返りもうてましたし、手を使って体を起こすことも出来ました」
しかし自力で立って歩くことなどは無理だった。
「ましてや賊相手に抵抗するなんて、絶対に不可能だったはずです」
仁藤はそう断言した。