月と太陽の事件簿15/人形はなぜ捨てられる
鳥海夫妻
診療所を出た後、あたしたちは鳥海家へと向かった。
仁藤から鳥海夫妻は留守だと聞いていたが、達郎が家を見てみたいと言い張ったからだ。
こういう時、達郎は何を言っても聞きはしない。
お目付け役としては、勝手なことをされるぐらいだったら、付いてった方がマシってなもんである。
「本当に隣あってるんだな、この2軒」
鳥海家と、仁藤の診療所兼居室を見ながら、達郎は言った。
確かにと思った。
垣根ひとつ隔てた距離しかない。
「9月7日の午前8時過ぎから正午の間に、事件はここで起きたんだよな」
「そうよ」
「なのに誰もその気配には気付かなかった。それっておかしくないか?」
この家の距離を見れば確かにそう思う。
「でもその事は、仁藤だけじゃなくて、出入りしてた患者たちも証言していることなのよ」
「そう。だから9月7日には何も起こらなかったんじゃないのか?」
「え!?」
あたしは達郎の言ってる意味がわからなかった。
仁藤から鳥海夫妻は留守だと聞いていたが、達郎が家を見てみたいと言い張ったからだ。
こういう時、達郎は何を言っても聞きはしない。
お目付け役としては、勝手なことをされるぐらいだったら、付いてった方がマシってなもんである。
「本当に隣あってるんだな、この2軒」
鳥海家と、仁藤の診療所兼居室を見ながら、達郎は言った。
確かにと思った。
垣根ひとつ隔てた距離しかない。
「9月7日の午前8時過ぎから正午の間に、事件はここで起きたんだよな」
「そうよ」
「なのに誰もその気配には気付かなかった。それっておかしくないか?」
この家の距離を見れば確かにそう思う。
「でもその事は、仁藤だけじゃなくて、出入りしてた患者たちも証言していることなのよ」
「そう。だから9月7日には何も起こらなかったんじゃないのか?」
「え!?」
あたしは達郎の言ってる意味がわからなかった。