月と太陽の事件簿15/人形はなぜ捨てられる
だが達郎はそれ以上不満を述べることもなく、黙って歩を進めた。
ぐるっと右回りに、客間・台所・勝手口・風呂場の順でのぞいてゆく。
その姿はどう見ても不審者。
こりゃ他人に見られたら間違なく通報されるな。
そう思ったあたしは警察手帳を取り出して、万が一の事態に備えた。
そんなあたしの気苦労も知らずに、達郎はどんどん歩いてゆく。
足を止めたのは、鳥海家の庭に出てからだった。
庭の広さは10坪ほど。
きちんと手入れのされた庭で、雑草の類はほとんどない。
「シラカバにイタヤカエデか」
植わっている2本の庭木を見て、達郎はつぶやいた。
そばには物干し台があり、物干し竿にかかった洗濯物が、残暑の陽射しを受けている。
「こっちが鳥海広義の部屋になるんだな」
左手方向を見ながら達郎は言った。
そこは夫婦の寝室と同じく、雨戸で閉ざされていた。
「垣根を挟んだお隣さんか。やっぱり、騒げば聞こえたんじゃないかな」
ぐるっと右回りに、客間・台所・勝手口・風呂場の順でのぞいてゆく。
その姿はどう見ても不審者。
こりゃ他人に見られたら間違なく通報されるな。
そう思ったあたしは警察手帳を取り出して、万が一の事態に備えた。
そんなあたしの気苦労も知らずに、達郎はどんどん歩いてゆく。
足を止めたのは、鳥海家の庭に出てからだった。
庭の広さは10坪ほど。
きちんと手入れのされた庭で、雑草の類はほとんどない。
「シラカバにイタヤカエデか」
植わっている2本の庭木を見て、達郎はつぶやいた。
そばには物干し台があり、物干し竿にかかった洗濯物が、残暑の陽射しを受けている。
「こっちが鳥海広義の部屋になるんだな」
左手方向を見ながら達郎は言った。
そこは夫婦の寝室と同じく、雨戸で閉ざされていた。
「垣根を挟んだお隣さんか。やっぱり、騒げば聞こえたんじゃないかな」