月と太陽の事件簿15/人形はなぜ捨てられる
その言葉があたしに向けられたものと気付いたのは、5秒ほど後。
達郎がこちらを向いたからだった。
「鳥海広義が助けを求めなかったのは何故かって言いたいわけ?」
‐独り言と会話の境目がわからないんだよ‐
あたしは心の中で毒づきながら、達郎の問い掛けに応じた。
「寝たきりとはいえ、声は出せたはずだよな」
「寝てたんじゃないかしら」
だから声をあげる間もなく、拉致された。
「寝てたのなら侵入者の顔は見れない。逆に侵入者は黙ってその場を立ち去ろうとするはずだ」
あー、そうか…。
「じゃ、顔見知りの犯行とか?」
拉致という強引な手段ではなく、言葉巧みに連れ出したのなら、騒ぎにはならない。
「レミには土足で家に上がり込む知り合いがいるのか?」
「あー…」
いかん、物事を断片的に考えてしまっている。
あたしはこめかみを指で揉んだ。
一方で達郎は、庭の一画に足を進めた。
そこはレンガで囲った花壇だった。
達郎がこちらを向いたからだった。
「鳥海広義が助けを求めなかったのは何故かって言いたいわけ?」
‐独り言と会話の境目がわからないんだよ‐
あたしは心の中で毒づきながら、達郎の問い掛けに応じた。
「寝たきりとはいえ、声は出せたはずだよな」
「寝てたんじゃないかしら」
だから声をあげる間もなく、拉致された。
「寝てたのなら侵入者の顔は見れない。逆に侵入者は黙ってその場を立ち去ろうとするはずだ」
あー、そうか…。
「じゃ、顔見知りの犯行とか?」
拉致という強引な手段ではなく、言葉巧みに連れ出したのなら、騒ぎにはならない。
「レミには土足で家に上がり込む知り合いがいるのか?」
「あー…」
いかん、物事を断片的に考えてしまっている。
あたしはこめかみを指で揉んだ。
一方で達郎は、庭の一画に足を進めた。
そこはレンガで囲った花壇だった。