月と太陽の事件簿15/人形はなぜ捨てられる
そこから見えたのは白い、2本の『足』。

どうやら勘がずばり当たったようだ。

「レミ、ちょっと待て」

身を固くしたあたしを押しのけるようにして、達郎が『足』に触れた。

「どうしたの、達郎」

「レミ、こいつはマネキンだ」

達郎の言う通りだった。

寝袋の中には、一体のマネキン人形が、逆さまに入っていた。



「雨が止んで良かったですね」

通報後、やってきたN県警捜査一課の北島警視は、ところどころに見える青空を見てそう言った。

今年で45歳という、オールバックが特徴のその面貌には、年齢にあった落ち着きがある。

N県警の出世頭らしいが、柔らかな口調の人物だった。

「菅野県警本部長がよろしくと言っていました」

一回り以上も年上の人に頭を下げられると、こっちが恐縮してしまう。

あたしも慌てて頭を下げた。

「ところで北島警視」

あたしは目の前に広がる光景を見ながら言った。

「マネキン一体に大袈裟すぎませんか?」

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