月と太陽の事件簿15/人形はなぜ捨てられる
「林写真館」とある建物の前に車を停めた。

車を降りてよく見てみると、写真館は四角柱の細長い建物だった。

2階建てで、全体が緑色に塗られており、あまり広くはなさそうだった。

たぶん1階が店舗兼スタジオで、2階が居住スペースなんだろう。

普通、こういう写真館では、店頭にスタジオで撮った写真を飾っておくものだが、この写真館にはそれがなかった。

写真が飾られていたであろうスペースにはガラスがなく、コルクボードを思わせる壁がむき出しになっていた。

わかっていた事とはいえ、実際に目にするとどこか物哀しいものがある。


「ごめんください」

ドアを押して中に入った瞬間、目の前に閃光が走った。

それも一度ではない。

二度、三度である。

「な、何っ!?」

あたしは両手で顔を覆いながら叫んだ。

「何モンだ、あんたら」

男の声と共に閃光が止んだので、あたしは両手を降ろした。

「警察の者です」

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