月と太陽の事件簿15/人形はなぜ捨てられる
「俺みたいに平和に暮らしてる人間に迷惑をかけてさ!アタマきたから次は絶対に現場押さえて写真撮ってやろうと思ってるんだ!」

「ああ、それで僕らが入ってきた時もカメラ構えてたんですか」

「その通り!」

林は達郎の言葉に大きくうなずくと、手にしていたカメラをかかげた。

「だから、昨日から怪しいと思った人間は片っ端から撮ってるんだ!」

「え?」

ちょっと待て。

あたしゃ怪しいのか?

こんなアフロもどきのピンクジャージ着た小さいオッさんに怪しいと思われたのか…?

思わず拳を握った瞬間、達郎があたしの肩を叩いた。

「レミ、落ち着け」

あ、ヤバい。

警官にあるまじき行動を取るところだった。

罪もない一般市民に拳を振るうわけにはいかない(当たり前だ)。

一度、深呼吸して気を落ち着かせた。

「いくつか質問をさせてください」

ここに来たのは達郎の意思だが、口火を切るのはあたしの仕事だ。

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