月と太陽の事件簿15/人形はなぜ捨てられる
「その写真のネガはありますか」

「なんだ、写真が見たいのかい?」

「はい」

「なら現像したやつをアルバムに綴じてあるからそれを見せてやるよ」

「お願いします」

「ちょっと待ってな」

林が奥へと引っ込み、あたしは達郎のスーツの袖を引っ張った。

「ねぇ、ガラス割った犯人の目的は写真だって言うの?」

「狙いが写真だったらガラス割らなきゃいけないだろ」

「仮にそうだとしても、それが今回の事件とどう関係があるのよ?」

「それを知るために写真を見せてもらうんだよ」

それを知るためって…達郎は写真になにがあるというのだろう。

写真と言えば鳥海広義の部屋の写真もそうだ。

あそこに写ってた和箪笥が何だと言うのだ?

まったく、マネキン人形といい庭といい、それぞれが何を意味するのか、あたしにはさっぱりわからない。

達郎の頭の中では今、どんな論理が組み立てられているのだろう。

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