月と太陽の事件簿15/人形はなぜ捨てられる
あたしは県道を見た。

先ほどから制服警官が交通整理にあたっている。

北島警視の言うことは確かだろう。

「てことは、このマネキン人形は非常に目立つ場所に捨てられてたということになりますよね」

達郎は唇を尖らせた。

「そうなんですよ」

北島警視は首すじをかいた。

「先ほども申し上げたように、先々週の不法投棄の現場は林の奥でした」

発覚したのは森林保護のボランティアがたまたま見つけたからだという。

「今回のように、こんな目立つ形で不法投棄というのは解せないんです」

「寝袋に入っていたというのも妙な話ですよね」

達郎の言うことはもっともだった。

目立つ場所にマネキンを捨てておきながら、寝袋の中に入れるという、明らかに矛盾したカモフラージュを行っている。

「あのマネキンは個人の持ち物だったかもな」

「どういうこと?」

達郎の言葉に、あたしは首をかしげた。

「趣味で持ってたかもしれないってことさ」

「あー…」

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