月と太陽の事件簿15/人形はなぜ捨てられる
だから保険金を受け取るために、鳥海夫妻は誘拐殺人を偽装したと、達郎は言いたいのだ。
しかしあたしはどうしても解せなかった。
「あの夫婦は父親のことをとても大切にしていたのよ?」
広義が生命保険に加入した時も、保険金はいらないと反発したはず。
「それなのに、金のために父親の亡骸を林の中に放置するなんて、そんなことあり得るかしら」
「確かに息子夫婦は父親を大事にしていた。それは誰もが認めるところだ。だが、その父親がある日突然、命を絶ってしまったら、息子夫婦はどうなると思う?」
「どうなるって…」
あたしは答えることができなかった。
「恐らくあの夫婦は、父親の死によって、何かの糸が切れてしまったんじゃないかな」
達郎の言葉を受けて、あたしも考えてみた。
それまで鳥海夫妻は、広義に無償の愛を注いでいた。
しかしそれにも関わらず広義は死を選んだ。
「哲夫や光子は、広義に裏切られたと思ったのかしら」
しかしあたしはどうしても解せなかった。
「あの夫婦は父親のことをとても大切にしていたのよ?」
広義が生命保険に加入した時も、保険金はいらないと反発したはず。
「それなのに、金のために父親の亡骸を林の中に放置するなんて、そんなことあり得るかしら」
「確かに息子夫婦は父親を大事にしていた。それは誰もが認めるところだ。だが、その父親がある日突然、命を絶ってしまったら、息子夫婦はどうなると思う?」
「どうなるって…」
あたしは答えることができなかった。
「恐らくあの夫婦は、父親の死によって、何かの糸が切れてしまったんじゃないかな」
達郎の言葉を受けて、あたしも考えてみた。
それまで鳥海夫妻は、広義に無償の愛を注いでいた。
しかしそれにも関わらず広義は死を選んだ。
「哲夫や光子は、広義に裏切られたと思ったのかしら」