月と太陽の事件簿15/人形はなぜ捨てられる
「鳥海夫妻は父親の遺体を、捜査当局に発見させようとしたのね」

夫妻には捜査一課と生活環境課の区別がついてなかったようだが、北島警視たちが動いたことによって、結果的に細工は功を奏した。

鳥海広義の遺体が林の中から発見され、捜査が誘拐殺人の方向へ動いたからだ。

「だがその後、思いもよらない出来事が起きた」

「林写真館の店頭に飾られた写真のことね」

鳥海夫妻は自分たちの店から持ち出したマネキン人形を捨てることで、捜査当局をおびき寄せることに成功した。

「夫妻はほとぼりが冷めるまで店を閉め、いずれ再開するつもりだったんだろう」

しかし林写真館の店頭に、自分たちの店の写真が飾られた。

「3体」のマネキン人形が写っている写真を。

「写真館のガラスを割ったのも、鳥海夫妻の仕業だったのね」

夫妻はガラスを割り、写真を破り捨てた。

そうしないと、マネキン人形が1体減ったことに人々が気付いてしまうからだ。

< 72 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop