月と太陽の事件簿15/人形はなぜ捨てられる
そして終幕
翌日の夕方近く。
あたしと達郎はN県の某道の駅にいた。
あたしとしては早く警視庁に戻りたかったのだが、達郎がここへ寄ることをかたくなに主張したため、しぶしぶ立ち寄ったのだ。
「このアンズ入りのカステラを、どうしても食いたかったんだよね」
道の駅の喫茶室。
達郎は買い求めたカステラの箱を、嬉しそうにテーブルに置いた。
「帰ってから食べればいいじゃないのよ」
「待ち切れないんだよ」
小学生かアンタは。
カステラのかたわらには、自販機で買ったミルク・オレ。
達郎は箱からカステラを一切れ取り出すと、勢いよくかぶりついた。
「美味い。やっぱり見込んだ通りだ」
満足げにモゴモゴしている達郎のセリフに、思わずあたしも手を伸ばす。
「一切れ頂戴ね」
達郎は何も言わなかったので、ありがたく頂く。
頬張った途端、口の中にアンズの甘みと香りが広がった。
「おいしーい!」
カステラ本来の甘さともいい感じにマッチしている。
あたしと達郎はN県の某道の駅にいた。
あたしとしては早く警視庁に戻りたかったのだが、達郎がここへ寄ることをかたくなに主張したため、しぶしぶ立ち寄ったのだ。
「このアンズ入りのカステラを、どうしても食いたかったんだよね」
道の駅の喫茶室。
達郎は買い求めたカステラの箱を、嬉しそうにテーブルに置いた。
「帰ってから食べればいいじゃないのよ」
「待ち切れないんだよ」
小学生かアンタは。
カステラのかたわらには、自販機で買ったミルク・オレ。
達郎は箱からカステラを一切れ取り出すと、勢いよくかぶりついた。
「美味い。やっぱり見込んだ通りだ」
満足げにモゴモゴしている達郎のセリフに、思わずあたしも手を伸ばす。
「一切れ頂戴ね」
達郎は何も言わなかったので、ありがたく頂く。
頬張った途端、口の中にアンズの甘みと香りが広がった。
「おいしーい!」
カステラ本来の甘さともいい感じにマッチしている。