月と太陽の事件簿15/人形はなぜ捨てられる
あたしと達郎は北島警視の後について林の中へ入った。

さっきまで降ってた雨のせいか、地面には木の葉や枝が散らばっている。

あたしたちはそれらを踏みしめながら、前へと進んだ。

『何か』が見つかったという場所は、林の中へと20mほど入ったところだった。

「マネキンじゃなさそうだな」

達郎がボソリとつぶやいた。

地面の上で仰向けになっていたのは、1人の老人だった。

男性で、ほぼ全裸。付けていたのは下着のみ。

両手を重ねて、腹の上に乗せていた。

「発見された時すでに、この状態だったのか?」

「はい」

北島警視の問い掛けに、先導役の捜査員はうなずいた。

周辺ではすでに数名の鑑識員たちが動いている。

あたしと達郎は両手を合わせてから、遺体の脇に屈み込んだ。

「この人がさっき言っていた、行方不明者ですか?」

「恐らく。発見した消防団員は見覚えがあると言っていたそうです」

「身内の方は?」

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