歴史の星空に飛び込んで


屯所の門まで小走りで行くと、沖田さんの言った通り斎藤さんが立っていた。

特に何をしているわけではなくて、ただ柱に身を託して瞳を閉じて腕を組んでいる斎藤さん。


「斎藤さん」


彼の前まで歩いていき、極力小さな声で呼んでみた。


「……菅野か」


てっきり無視されるのかと思ったら、斎藤さんは瞳に私をうつして名を呼んでくれた。

ちょっと嬉しかったり。


「お邪魔しましたでしょうか?」

「いや、大丈夫だ」

「ならよかったです。あ、羽織り出来ました」


どうでしょうかと言わんばかりに斎藤さんに差し出すと、斎藤さんは無言のままそれを受け取りその場で着てくれた。







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