歴史の星空に飛び込んで
***
「泣いてるのか……?」
庭の真ん中で私は泣いていた。
山南さんが思い残すことはないなんて言ったの絶対嘘だって。
そんな私を永倉さんは後ろから見つめた。
ダメだダメだ。私が泣いちゃ。
「そんなに強く擦ったら目腫れるぞ」
そうは言ったってこうしないと涙はとまらないんだ。
「永倉さん、お願いです」
「なんだ?」
「好きな人が知らない間に死ぬのなんて絶対に嫌なんです。だから、だから」
「……山南さんの馴染みを迎えに行くか」
コクコクと頷いた。
武士なんて嫌いだ。武士道だとか言って死ぬなんて。