歴史の星空に飛び込んで
桜の花びらが咲く頃
淡い光りが私を包み込んで、優しく私を隠してしまった。
あ、そうだ。
これだけはお願い。
どうか桂さん関係じゃないところへ、お願いします
***
「ケホッ……桜が、もう満開ですね」
桃がいなくなってからもう一年以上になる。
桃のいない二度目の春だ。
1867年、春。
「寝とけっていってるだろう」
沖田を心配して土方が様子を見にきた。
土方の心配通り、沖田は敷いた布団から抜け出して縁側に一人座っている。
「あの桜が散り終わったら私は死ぬんでしょうか。なんちゃって」
「何馬鹿言ってやがる、お前が死ぬわけないだろう。いいから布団に戻れって」
「はぁー、相変わらず荒いんだから、でも待ってくださいよ。もう少しだけ、こうしていたいんです」
沖田は日に日に窶れていた。
それでも沖田は沖田だった。
土方は少し安心していて、少し意外に思っている。
それは、桃がいなくなったことでまた、笑わなくなるんじゃないかと。
でもその心配もいらなかったらしい。