歴史の星空に飛び込んで
まさか、と思ったがこの状況で局長が冗談をいうわけがない。
動揺を表に出してしまった斎藤を見て土方が意地悪く口を挟む。
「まあ昨夜も総司と延々話してたから起きてるか知らないがな。
斎藤、お前菅野のこと好いてたよな?
いーのかー?とられちまってー」
丸くなった、というか口数が激増したなこの人、とか内心思いつつ全部図星だった斎藤は話しを反らそうと
もんもん視線を畳みに向けて考えた。
はたから見れば怒っているようにも見える。
「お、怒るなよ斎藤、悪かったって」
そんな斎藤の心理には気付けない土方はやっぱり楽しんでいた。
***
久しぶりに歩く屯所、
確か菅野の部屋はここで、と立ち止まって斎藤は一人考えた。
他の隊士にばれないように来ているからまだ起きるには早い。
だから菅野は起きてるわけがない。
でも一年前別れも告げず帰った菅野にまた会えるなら、会いたい。
たとえ戻って来た理由が何であろうとも。
だが女子の眠っているところに入るのは士道に背くことではないだろうか、
いやでも別に何かするわけでもないし、
起こすわけでもない。
ただ顔を見たいだけで、
ああ、でもやはりそれは……。
悶々ひたすら考えて、斎藤は襖の取ってに手をかけた。
ええい、
朝日がハッキリでるまえに……!