歴史の星空に飛び込んで
言葉に出来ない怒りにフンッと山崎さんから体ごと反らせた。
「もう山崎さん帰ってくださいよ、私怒りました!」
「あはは、どうしよう沖田さん」
「自業自得ですよ」
「やっぱり?……んなお嬢さんもお怒りのことやし、帰るとしますか」
よいしょっと立ち上がった山崎を目で追った。
本当に帰っちゃうんだろうか、……
っていや、私は怒ってるんだった。
「見送りくらいしてあげます」
「なかなかツンやなぁ桃は」
ケラケラと山崎さんは笑いながら、私から沖田さんへと視線を向けた。
「沖田さんは体調も良くないしここで、……
沖田さん」
沖田さんは山崎さんを見上げながらキョトンとした。
「じゃあ、また」
狐目が際だった山崎さんの笑い方、
その表情を見て沖田さんは頷くだけだった。
よし、じゃあ私は山崎さんをお見送りしよう。
「安静にしててくださいね沖田さん」
「うわっ、ちょ、押さんといてやな」
山崎さんの背中をぐいぐい押しながら進む。
いちいちうるさい人なんだから。
これ以上長引いても寂しくなるだけなんだから、武士なら潔くなれってのよね。
部屋を出る間際に沖田さんを見ると、いつもの笑顔と少しの苦笑で山崎さんに手を振っていた。