歴史の星空に飛び込んで


表門まで来て

山崎さんは私の方にくるりと振り返った。


ちょっとびっくりしてのけ反る。
また何かされるのかと思ったよ。





「そんなびくつかんでも」

「山崎さんが悪いです」



いつもいつも急に現れて

狐目を印象づけて去っていく。



「俺もほとほと報われへんな」

「?」

「ずっと影で支えても、沖田さんには敵わない、どんなにお前を見続けても、桃は気持ちに応えてくれない。

俺かわいそう」


うう…………。

確かに山崎さんはいつも私を見ていてくれて、
いつも私を助けてくれた。



「でもだからって口づけすることないじゃないですか」

「それは大目に見るべきや」



出た狐目。


「もう。」

「な。じゃあもう行くわ。またな」

「はい、また」


心で交わす‘また’の約束。
きっと沖田さんもわかってる。


また、きっと。







< 534 / 565 >

この作品をシェア

pagetop