歴史の星空に飛び込んで
表門まで来て
山崎さんは私の方にくるりと振り返った。
ちょっとびっくりしてのけ反る。
また何かされるのかと思ったよ。
「そんなびくつかんでも」
「山崎さんが悪いです」
いつもいつも急に現れて
狐目を印象づけて去っていく。
「俺もほとほと報われへんな」
「?」
「ずっと影で支えても、沖田さんには敵わない、どんなにお前を見続けても、桃は気持ちに応えてくれない。
俺かわいそう」
うう…………。
確かに山崎さんはいつも私を見ていてくれて、
いつも私を助けてくれた。
「でもだからって口づけすることないじゃないですか」
「それは大目に見るべきや」
出た狐目。
「もう。」
「な。じゃあもう行くわ。またな」
「はい、また」
心で交わす‘また’の約束。
きっと沖田さんもわかってる。
また、きっと。