歴史の星空に飛び込んで


「桃ちゃん」


キタジ君が私を呼ぶと、沖田さんの雰囲気が少し変わったような気がした。

纏うなにかが危を知らせる。


笑顔のまま沖田さんはキタジ君の方へゆっくりと向き直り、土方さんは刀を鞘に戻した。



「菅野に用か」



コクリ。とキタジ君。
キタジ君があまり喋らないのはまんまみたい。
話す時は話すんですよ。


「ど」
「あ!」


私がどうしたのと話しかけようとしたその時、被さるように土方さんが声を発した。


ビクッとびくつく私とキタジ君。


「お前やっぱりどっかで見たことあると思ったら、俺達が江戸に発つ時天保山の港から船に必死こいて手振ってたやつだな」

「え」



気付かなかった、キタジ君がそんな、
またコクリと頷いたキタジ君。


「てっきり誰かの見送りだと思ってたが、その使いって話しじゃそうでもないらしいな」

「き、キタジ君、とりあえずこっち来てよ。二人共長州だからって斬ったりする人じゃ……」



斬ったりする人じゃないか…?



「しねーよ」

「しませんよー」


思いつめるもつかの間、土方さんと沖田さんの言葉にコクリと頷いたキタジ君は真っ直ぐ私達の方に歩いて来て私と目を合わせた。


また少し、キタジ君大人っぽくなったなぁ


なんておじさんみたいなこと言ってる場合じゃないのね。
沖田さんの後ろからちゃんと縁側に正座してキタジ君を見上げる。



「桃ちゃん、これ」



差し出されたのは風呂敷包み。

中身は………………。







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