歴史の星空に飛び込んで
ぬぬぬっ……ぬうあああああああああ!!!!!
こ、これは
「本ですねぇ」
「本だなぁ」
本です!本です!そうです本なんです!それ、『君に贈る』なんです!
つまり私が幕末に来たきっかけであって、帰る手がかりで、
それなのに…………っ!
「忘れてたでしょ」
「ま、ままま、まっさかぁ?」
ふふ、忘れるわけないじゃない。だってこれは何度も言うけど未来に帰る手綱で、
沖田さんに話そうと思ってた本なのに、
「あはははははは」
忘れるわけ……………っ
「…………………忘れてた」
「…やっぱ、り。」
ヘラッとキタジ君を笑って見上げると、キタジ君は困ったように視線をずらした。
だ、だって!こっち戻って来て色んなことあって忙しくて!この本だって私が手にしたのはほんの一瞬。
持ってないことがあたりまえで!すっごく大事だってわかってるけど、
全然考えてなかったんだよ!!
寒いのに私だけがダラダラと冷や汗をかいていて沖田さんや土方さんはそんな私の様子に心底驚いていた。
「わざわざ届けに……?
「桂先生が届けるようにって。大坂まで行ったんだけど、間に合わなかったから、追いかけて、来たんだ」
「ひぇぇ〜、……ご、ごめんなさいなんか。私がしっかりしてないから……」
こんな手間をかけさせてしまって本当申し訳ない。
キタジ君だって迷惑な話しだろうにそれでも頭をフルフル振ってそんなことないと否定してくれる。
優しいなぁ。
「それって……」
隣では、いまかいまかと話しかけるタイミングを計っていた沖田さんがやっと本を指さして私を見た。