歴史の星空に飛び込んで
沖田さんもわかったようで表情は固い。
私が一度未来に帰った時、
沖田さんもその場に居たから覚えているんだろう。
私は土方さんにわかりやすいように
「未来とここを繋ぐ本です」
とだけ伝えた。
いったい何がどうなってそうなったかなんてわからない。
話しの内容だってみよちゃんと優太君の約束の話しだし。
こんな普通の児童書がなんで、
そう思うけどそうなんだもんなぁ。
「これが……?」
「開いちゃだめですよ菅野さん」
「え?ああそうですね」
沖田さんは私から本を取り上げて風呂敷に包んだ。
その様子を見ながら私は少し安心する。
まだここに居ていいんだよって言われてるみたいだったから。
「……わざわざ本当にありがとうキタジ君」
キタジ君に向き直り言うと頭をフルフル振ってはにかむキタジ君。
頭を振るの癖なんだね、きっと。
「………あと、涼香さんが、幸せに、って言ってました」
「え!お母さんが?」
嬉しい!お母さんが気にかけてくれてたなんて
「じゃあ、……僕はこれで」
「もう帰っちゃうの?」
「なんです菅野さんひきとめて。男をひきとめるものじゃありませんよ」
「お、なんだ総司、おまえいっちょまえにリンキか?」
ケラケラと笑う土方さんにムッとする沖田さん、困ってるキタジ君に私はプッと吹き出してしまった。
本当どこにいてもいつでもずっとこの調子なんだもん、
では、と頭を下げて恥ずかしそうに去っていくキタジ君の背を送り、私は大きく今日も手を振った。
ありがとうキタジ君、本、もう無くさないからね。