歴史の星空に飛び込んで


「土方さん!」


もうふざけないでください!


睨む私に土方さんは怪しい笑み。

そしてまた近づいてきた土方さんは私の耳元で囁いた。



「本当いい女になったよ」

「なっ」



ぶわっと顔が赤くなる。土方さんが急にそんなこと言うから。



「じゃあな」

「土方さん…」



バッと土方さんは背中を向けた。
土方さんは「また」とは言わなかった。
もう顔も見せてはくれないらしい。

さようなら、土方さん。




***



「土方さんはもう来てくれそうにありませんね」


沖田さんの部屋に戻ると、布団の上で沖田さんは淋しそうに呟いた。

つくづく思う。

この人たちは言葉にすることなく通じあえてるんだって、


長い間、死の境を共に守りあって生きてきて、

そして同じ誠の旗の下集いあったから、

今も道は違っても同じ方向を見つめていけるんだろうな。


うらやましいです。


やっぱり私はその輪に入れないみたいだから。


だけどその輪に助けられ支えられました。


「ゲホッ……」

「沖田さん、ほら、咳してるじゃないですか、ゆっくり休んでください」

「…おかしいな、今日は調子よかったんですけどね」








この先に待ち受ける時代の波を私も沖田さんも知らない。


いつか別れが来るのなんて
誰でも同じこと。


それがいつかなんてわからない


だけど今は一緒にいれる。


終わりなんて、私が時代を動かせるわけないんだからはじめから決まっていたに違いない。


きっとこれからどう転んでも、

時代の結末は決まっている。



だから、私は、今、どう生きるかを大事にしたい。








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