銀の野獣

「陸 いるんだろ?」



「………一人にしてくれ…」




「陸っ!!」



そんな様子の陸に 思わず大地が怒鳴る。



「はっ 情けねぇ…俺、あの目を見ただけで体が無意識に震えるんだ。」




「あの目…?」



大地は 何がなんだか分かっていないのだろう。 不思議そうに 陸に聞き返す。




「月とか言う奴だよ。 あの、冷たくて 何も映さない目……
あの女の事 つい思い出しちまうんだ。」



震える声を出す陸を目にして、 正樹と陸は 拳をギュッと握りしめ下唇を噛んだ。


意味がわかったのだろう。



「そう…か 陸。もっと俺達を頼ってよ。

ーーもう あんな陸は見たくないんだ。」



正樹の寂しげな声が
空に響いた。



〔大地・正樹SIDE END 〕


< 23 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop