銀の野獣
ガチャ


開けたとたん目の前が 真っ暗になる。

「月……」



「…………」


……どれだけそうしていただろうか。


しばらくたつと
その人は 抱き締めていた私を離し、今でも涙が零れ落ちそうなほど 切ない目で私を見ていた。


「月……」


そしてまた その優しい声で私を呼ぶ。



あぁ……そんなに優しい目で見ないで。

自分の犯した罪を忘れてしまう…


「………たっちゃん…ただいま。」



でもきっと たっちゃんは “ごめん”なんて言葉 望んでいない。


私なんかが “ただいま”と言って良いのか、 またここを居場所にして良いのかすら分からない。


だけどー…たっちゃんに強く抱き締められたとき、 やっぱり私は仲間を必要としているんだと。
そう実感した。




どうか こんな私を許してーーーーー…
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