今日も明日も…私はあなたに恋をする。
門を出た所にすでに車は到着していた。
爺は何も聞いてこなかった。
ただ一言
「おかえりなさいませ」
と。
「…っ」
私は止まっていた涙がまた溢れだすのを感じた。
けれど葵が抱き締めてくれたからずっと胸に顔を埋めていたの。
葵と爺の前だと素の自分でいられるの。私の有島家での居場所はここだけなの…
嗚咽が抑えきれなくて苦しかった。
葵は頭をずっと撫でてくれていた。
私はずっと葵にしがみついていた。
「2人を見ていると…私が子供の頃を思い出すんです。」
私がだんだん泣き止んできた頃、爺が突然話しだした。
「少しドライブしながら私の話を聞いてくれませんか?」 と。
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「その昔、私は貧しい家庭に育ちました。兄弟姉妹が多くてやがて私は奉公にだされたのです。」
私を雇って下さったのは有島家の1人娘――咲子様でした。