今日も明日も…私はあなたに恋をする。
そう。優海様、あなたのおばあさまのことです。
その時私は5歳、咲子様は13歳でした。
その頃…私と同じ頃に使用人として有島家に来た青年がいました。
青年は非常に勉強熱心な方でした。
ですが貧しくて学校に行けず働いていたそうです。
そこで当時の有島家の当主が彼に条件を出し、雇ったのです。
書生として学校へ行く費用を有島家が負担するかわりに
有島家で住み込みの使用人となること。
その青年の名は永井修治。
葵君、君のおじいさんの事だよ。
私たちはただ目を丸くしてお互いを見つめていた。
そしてゆっくりと紡がれる、爺の言葉の続きに耳を傾けた。