今日も明日も…私はあなたに恋をする。


そう。優海様、あなたのおばあさまのことです。


その時私は5歳、咲子様は13歳でした。


その頃…私と同じ頃に使用人として有島家に来た青年がいました。


青年は非常に勉強熱心な方でした。

ですが貧しくて学校に行けず働いていたそうです。


そこで当時の有島家の当主が彼に条件を出し、雇ったのです。


書生として学校へ行く費用を有島家が負担するかわりに

有島家で住み込みの使用人となること。


その青年の名は永井修治。
葵君、君のおじいさんの事だよ。


私たちはただ目を丸くしてお互いを見つめていた。


そしてゆっくりと紡がれる、爺の言葉の続きに耳を傾けた。



< 156 / 173 >

この作品をシェア

pagetop