へたれだって恋・・・らしきもの・・・をすることもある、て話~ヘタコイ~
お母さんは、今度は幼稚園の卒業アルバムを引っ張り出して来た。

集合写真。

幼い僕の横に、ちょこんと首を傾けた女のコ。

ミエちゃんだ。

お母さんに指差されなくても

すぐにわかった。


急に声が蘇る。

――竜って書くけど"りょう"って読むんだよ――

なんで不思議に思わなかったんだろう?

2年生になって最初に聞いたミエちゃんの言葉。

知らないヒトは、そんなこと知らないのに。


――名前はリョウだけど、ホントはボク竜なんだ。大きくなったらドラゴンになるんだよ――

レイが小さな男のコの口調で言った言葉。

レイはミエちゃんから聞いて知ってたんだ。


ミエちゃんは、

僕のこと

覚えてたんだ。


だから、

ミエちゃんの卒業文集のページに、

僕の名前がなかったんだ・・・

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