サクラ咲ク


そりゃ私だって入りたかった。

一日だってお風呂を欠かすのは嫌だし、不潔な感じがしてしまう。



と言うか、事実不潔だわ。




その話をお梅さんにしたら、お風呂はこっちで入らせてあげると言ってくれたのだ。



「…ねぇお梅さん?」




一生懸命お風呂を温めてくれているえ梅さんに私はそっと呟いた。





「私、お梅さんや芹沢局長に会えてよかった。」





驚くほど素直に零れた言葉に、自分でもビックリしてしまう。




「…あの人がな、悠希の事、娘みたいやて……私も…私もな、悠希の事会って間もないのに家族みたいな気がすんねん。」




“あの人”はきっと芹沢局長を指す言葉。





「家族…」



「そう、家族。不思議やけどな、多分これって…」





運命やと思うねん。






そう言って綺麗に笑ったお梅さんの頬が紅く染まっていて。







「家族…かぁ…」







思わず笑顔でそう呟いた。









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