サクラ咲ク





青い、青い場所。





これは夢ね、とぼんやりと思う。







一面の青色は、よく見れば勿忘草の青。




ただ果てしなく広がる青色を、そっと見渡す。






「…あれ……?」






遥か遠くに一つの影。

あれは…







「お梅さんっ!!!」





見間違えるはずのないその背中に叫ぶ。





お梅さんはゆっくりと私を振り向いて、悲しげに微笑んだ。






「―――――、―――…。」






何かを小さく呟いて、お梅さんは消えた。







「お、梅、さん…?」










青だったはずの世界は、真っ赤な世界に色を変えた。





鮮血の色。





ぐらり、と体が揺れる。
どうしようもなく悲しくなる。




あの青色が頭に残るのに、目の前に広がるのはただ、紅のみ。








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