サクラ咲ク
「―――ッはぁっ、はぁっ…」
ガバリと起き上がると、今度は真っ暗な夜だった。
「夢………?」
汗でびっしょりの体を強く抱きしめる。
暑いはずなのに、がたがたと体が震えて制御がきかない。
勿忘草の青、血の紅、
それから…
「お梅さん…」
あの悲しげな笑顔。
最後になんて呟いたのかしら。
嫌な予感がして、怖くて仕方ない。
何か全てが壊れてしまう気がして、ただ恐怖だけが思考を支配した。
真っ暗な空には、月も星もなく、ただ墨を溶かしたような空が広がっていた。
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