サクラ咲ク



『ねえ、おかあさん。』


『なぁに?』


『きょうね、みずたにせんせいがね、いってたの。』


『あら、なんて言ってたの?』


『まけないでいることは、つよいこと。でも、かつことが、つよいわけじゃないんだって。…どういういみ?』


『そうねえ…』







お母さんが、困ったみたいに笑った。










『悠希には、まだ難しいかもね。でもね、』




白く細い指で、私の髪を撫でながら、お母さんは優しく言った。





『優しくしなさい。全ての人に、優しくできる人になりなさい。そうすればいつか、貴女は水谷先生の言ったことが分かるから。』










.
< 12 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop