サクラ咲ク
「お、目を覚ましたか!」
目を覚ますと、安心したように細くなった誰かの瞳が私を見つめていた。
「驚いたぞ?なんせ、道中に倒れていたのだからな。いやあ、無事で何よりだ!!」
大きな口を開けて笑う大柄な男を私はただ見つめた。
「どういう、こと…?」
確かに、私は死んだはずだ。
間違っても死にぞこなわないように、あの廃墟を選んだのに。
そっと左胸に手を当てれば、どくんどくん、と命の音が伝わった。
確かに、私は死んだはずなのに。
「どうした?気分が悪いか?」
そんな私を見て、心配そうに男は私の背を摩った。
.