サクラ咲ク



「…沖田さん、戻りましょう?」



空に伸ばした手をそっと降ろして沖田さんを見つめる。



「この後の処理もあるでしょうし、いつまでもこんな所にいては、土方さんもお困りになるでしょう。」




そっと笑った私に、沖田さんは動揺を隠せない瞳で私を見つめた。




「…怨まないんですか?」




怨まないのか…


お梅さんと芹沢局長を殺めたことを。





「…最初は、確かに恨んでました。だけど…」





沖田さんの悲しそうな笑顔を思い出す。


あんな顔見て、責めるなんて…






「…沖田さんだって、辛いんでしょう?なら、責めるなんて…恨むなんて、できませんよ…」




「悠希さん…」




「あはは!そんな顔しないで下さいよ!!私は大丈夫ですから。」





行きましょう、と告げて歩き出す。




まっすぐに背筋を伸ばして。



お梅さんの後ろ姿を真似る。




私も、凜と。








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