サクラ咲ク


「あはは…参ったなぁ…」




後ろでそんな声がした。




「憎んでくれて、よかったのに…」





振り向けば、沖田さんが俯いて呟いた。






憎む、か…






「沖田さんはずっとそうやってきたんですか?」






誰かを斬って、その度に嫌われ役を。



自己犠牲なんて言葉が、不意に浮かんだ。






「そうやって、いつも誰かを救ってたんですか?」






憎しみで人は生きていけないけど、生きるきっかけにはなる。




大切な人を殺されても、後を追わずに、仇を取ろうという原動力になる。






「…そんな綺麗なことじゃありませんよ…」






その横顔があまりに儚くて、消えてしまいそうで。




ああ、そうか。


この人はこうやって、全部一人で抱え込んできたんだ…











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