サクラ咲ク
十一、満作 [閃き]
「沖田先生っ!!!」
朝の屯所に明るい声が響いた。
つい、その声のしたほうを見ると、やはり総司と楽しそうに話している悠希の姿があった。
芹沢局長達が殺された次の日から、悠希は少し変わったと思う。
よく、笑うようになった。
それが何故か俺までうれしくなって、思わず目で追ってしまう。
小さくて、色白で、男とは思えないような細い手足。
だけど、幹部の奴らと同等に戦えるだけの剣術を使う。
無害そうな笑顔を浮かべるのを見る旅に、本当に男なのか疑いたくなってしまう。
「藤堂さんっ!何ほうけてるんですか?」
「…ん?………って、うわぁ!?悠希!!?」
「私意外の誰に見えるんですか?」
そう言って楽しそうにクスクスと笑う。
「なぁ、さっき総司と何話してたんだ?」
「え?あぁ…朝の挨拶をしただけですよ。おはようございますって!」
それがどうかしましたか?と首を傾げる悠希に、俺は曖昧に笑ってごまかした。
「いや…最近、総司と仲いいみたいだね。」
あれ?
何でこんな話してんだろう。
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