サクラ咲ク


「それより、名を聞いてもいいか?」


「え…っと…酒井、悠希です。」


混乱する頭で名乗ると、男はにっこり笑った。



「悠希、か。いい名だな。俺は近藤勇という。ところで悠希、家はどこだ?心配だから送ってやろう。」



「家…は、埼玉県、です…」



「さいたまけん?どこの国だ?」



国?そんなの…



「日本に決まってるじゃないですか。」



「そりゃ、そうだが…」




いい大人が、都道府県もわからない?

いや、でも…
埼玉県はマイナーといえばマイナー…かもしれない。




「…東京でもいいです。」


「とうきょう?」


やっぱり近藤さんは不思議そうに首を傾げた。


それを見てさすがにギョッとする。



.
< 15 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop