サクラ咲ク
「それより、名を聞いてもいいか?」
「え…っと…酒井、悠希です。」
混乱する頭で名乗ると、男はにっこり笑った。
「悠希、か。いい名だな。俺は近藤勇という。ところで悠希、家はどこだ?心配だから送ってやろう。」
「家…は、埼玉県、です…」
「さいたまけん?どこの国だ?」
国?そんなの…
「日本に決まってるじゃないですか。」
「そりゃ、そうだが…」
いい大人が、都道府県もわからない?
いや、でも…
埼玉県はマイナーといえばマイナー…かもしれない。
「…東京でもいいです。」
「とうきょう?」
やっぱり近藤さんは不思議そうに首を傾げた。
それを見てさすがにギョッとする。
.