サクラ咲ク
「いい天気ですねぇ~」
沖田先生はそう言って小さな欠伸をした。
人々が賑わう京の街をのんびりと歩く。
さっきまでの緊張感が嘘みたいに、平和な空気。
「壬生浪士組は、空ですね。」
「え?」
呟いた私に、沖田先生は首を傾げた。
「壬生浪士組が着る羽織りの色、空と同じ色です。」
私の指差した空を、沖田先生もそっと仰いだ。
雲一つない空の色。
「…浅葱色というんですよ。」
浅黄色。
空の、色。
「悠希さんの隊服も、そろそろ注文しないといけませんね。」
沖田先生の言葉に思わず息を呑む。
「…私、にも…作ってくださるんですか?」
前を歩く浅黄色がゆらりと揺れて、振り返った。
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