サクラ咲ク



少し震える手で、引き戸を開ける。




「いらっしゃいませ。」




聞こえたのは、中性的な声。
声の主はゆっくりと奥から現れた。




同い年ぐらいの、綺麗な子。




思わず見とれてしまうような。





「お侍さん、何をお探しでしょうか。」



柔らかい笑顔で聞かれ、我に返る。



「えっと…立花、菊さん…ですか?」





そう尋ねた私に、その人はにっこりと笑った。




絶対零度の笑顔で。






「…俺が女に見える?」





「え、あ…あはは…」




引き攣った笑いを零す私を、その人は思い切り睨んできた。



な…なんなのよ…
だって綺麗な顔してるから!!


なんて心の中で叫ぶ。






.
< 153 / 247 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop