サクラ咲ク
少し震える手で、引き戸を開ける。
「いらっしゃいませ。」
聞こえたのは、中性的な声。
声の主はゆっくりと奥から現れた。
同い年ぐらいの、綺麗な子。
思わず見とれてしまうような。
「お侍さん、何をお探しでしょうか。」
柔らかい笑顔で聞かれ、我に返る。
「えっと…立花、菊さん…ですか?」
そう尋ねた私に、その人はにっこりと笑った。
絶対零度の笑顔で。
「…俺が女に見える?」
「え、あ…あはは…」
引き攣った笑いを零す私を、その人は思い切り睨んできた。
な…なんなのよ…
だって綺麗な顔してるから!!
なんて心の中で叫ぶ。
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