サクラ咲ク
「・・・あら、もう外は暗くなってきたわね。」
お菊さんの言う通り、外は夕焼け空を通り越し、濃藍色に染まっていた。
「悠希ちゃん!私たちは、貴女の味方だからね。いつでも遊びに来て頂戴。」
「お菊さん・・・本当に有難うございます。」
「いいのよ~!私、ずっと娘が欲しかったの。あ!麗!あんた悠希ちゃん送っていきなさい。」
お菊さんの言葉にぎょっとする。
「そんな!!!結構です!!!これ以上ご迷惑かけれません!!!」
「あら、女の子が暗がりの中一人で歩くなんて危ないわ。」
「だけど・・・・」
ちらりと麗君を見ると、その視線に気付いたのか、盛大なため息をつかれた。
「・・・俺、土方さんに話あるし、どうせ行くから。」
そう言って戸のほうへ歩きだしたのを見て、慌てて追いかける。
「お菊さん!!!また来ます!!!」
そう言って笑うと、お菊さんも嬉しそうに笑った。
その笑顔を見て、濃藍の世界に飛び出した。
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