サクラ咲ク
十三、福寿草 [幸福]
お互い黙り込んだままただ歩く。
だけど私に合わせてゆっくり歩いてくれているし、さっきも庇ってくれたし、
悪い子じゃない。
「麗くん、あの・・・ありがとう。色々してもらっちゃって・・・」
「・・・別にあんたの為じゃないし。」
プイッとそっぽを向いてしまったけど、その頬が赤く染まって見えた。
暗がりの中だから、ただそう見えただけかもしれないけれど。
「・・・それでも、ありがとう。」
そう言った私に、麗くんは大げさに溜め息をついた。
「変な女だね。あんた歳はいくつ?」
「17歳だけど・・・」
そう答えた瞬間、麗くんは心底嫌そうな顔をした。
「・・・俺、年上嫌いだし。」
それを聞いて思わず苦笑いしてしまう。
「そんなんじゃ、世界中嫌いな人だらけね。」
「・・・煩い。」
拗ねてしまったかしら。
思わず可愛いと思ってしまうのは、その本心が少し垣間見えたから。
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