サクラ咲ク





「私、なんで捨てられたのかなぁ・・・」





笑って言ったつもりなのに、弱々しい声しか出なくて、泣きたくなった。



風に浚われて聞こえなくなってしまうぐらい小さな声だったから、聞こえなかったかしら、と思う。


聞こえなくても、いいと思う。






「・・・さぁね。親が子供を捨てる理由なんて俺は知らない。」




だけど、麗くんは私の小さな声を拾ってくれたらしく、そう言った。



「ただあんたが邪魔だったのかもしれないし、嫌いなったのかもしれない。他な大事なものが出来たのかもしれないし・・・」



麗くんはそこで一度言葉を切って、立ち止まり、私を見つめた。



真っ暗な中で、街の提灯の僅かな灯りがその顔を照らす。


大人びたその表情を思わず見つめた。




「・・・あんたを、守る為だったのかもしれないし。」




私を、守る為・・・・?




風に吹かれて、提灯がゆらりと揺れた。

二人分の影が小さく揺れる。




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