サクラ咲ク
「近藤局長、お客様がお見えです。」
「あぁ!入ってくれ!」
中から聞こえた近藤さんの声を確認して、そっと襖を開く。
中には近藤さんと土方さんがいた。
「悠希くん、ご苦労だったな。」
私に優しくいたわりの言葉をかけて、近藤さんは麗くんに視線を移した。
「わざわざすみませんな。本来なら此方から伺わなくてはいけないものを・・・」
「いえ、お気になさらないで下さい。」
すまなさそうに目尻を下げた近藤さんに麗くんはにっこり笑った。
「・・・立花殿。」
土方さんが難しい顔で口を開いた。
「約束の日が過ぎているのは百も承知だが、まだそれだけのものが手元にない・・・誠に情けないが、出来次第必ず返す・・・どうか待ってくれまいか・・・」
主語こそなかったけれど、それがお金の話だというのは察しがついた。
土方さんは黙って頭を下げた。
.