サクラ咲ク




「・・・目星はついてるんだろ?」




近藤さんの問いに、土方さんは静かに頷いた。





「・・・まだ確証はないが、俺は・・・・・」









だめだ。





これ以上は、私が聞いていい話じゃない。




これ以上の盗み聞きは許されない。











「土方さん、近藤さん。」











土方さんが“裏切り者”の名を言う前に、そう声をかける。







心底驚いたような二人の顔が目に映った。









「お話し中、失礼します。朝ご飯の準備が整いましたので、広間へどうぞ。」





「あぁ、そうか。わざわざ有難う、悠希くん。」






おおらかに笑いながら礼を言う近藤さんと対象的に、土方さんは眉間に皴を寄せていた。







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